伊藤忠エネクスグループ

プチくらしの森
更新日: 2023.11.20

骨と筋肉の健康を維持する|冬の“ビタミンD”不足

医学博士植地 貴弘さん

ビタミンD不足が及ぼす健康リスク

ビタミンDは私たちの健康にとって欠かせない栄養素であり、その役割は多岐にわたります。骨と筋肉の健康に直接関連し、カルシウムの吸収を助け、強固な骨を維持する働きをします。ビタミンDが不足すると、子どもは「くる病」、大人は「骨軟化症」「骨粗鬆症」という状態につながることがあります。
さらに、筋力の低下や筋肉の痛みもビタミンD不足の典型的な症状で、これは特に高齢者において転倒の危険性を増大させ、「骨粗鬆症」も相まって、骨折のリスクを増加させる可能性があります。

摂取のコツ・過剰摂取には注意

ビタミンDは、主にビタミンD2とビタミンD3の2つに分類されます。ビタミンD2はキノコ類に多く含まれ、ビタミンD3は魚肉及び魚類 の肝臓・卵黄に多く含まれます。また、ビタミンD3は皮膚が紫外線にさらされることでも生成され、日照時間が長いとビタミンDの不足にならないといわれています。
一般的に、骨折リスクを上昇させないために必要なビタミンD摂取量は、15μg/日です。これは日照暴露(皮膚が紫外線にさらされる状態)によるビタミンD3の生成を考慮していない数値です。日本は日差しが強く、日照暴露によるビタミンD3の生成が期待できることもあり、必要なビタミンD摂取量は8.5μg/日とされています。
一方で、日差しが弱い冬や、あまり外に出ない高齢者の方、そして日焼け止めクリームをよく使う方は、紫外線によるビタミンD3の生成が不十分であることが多く、15μg/日をすべて食べ物でまかなう必要があります。下の表を参考にビタミンDを多く含む食べ物を取ってもらいたいのですが、難しい場合はビタミンDのサプリメントなどの利用も検討してみましょう。
ビタミンDは、脂溶性ビタミンのため過剰摂取による健康障害が知られています。ビタミンDが摂取過剰となると、高カルシウム血症が起こり、腎機能障害や食欲不振、嘔吐、などの症状が現れることがあります。サプリメントを利用する際は、一日の摂取は100μgを超えることがないように注意をしましょう。

μg(マイクログラム)=0.000001g

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