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プチくらしの森
更新日: 2023.02.20

気付きにくいけど実は病気|過眠症と不眠症

医学博士植地 貴弘さん

過眠症の一種「ナルコレプシー」とは?

過眠症は、日中に過度の眠気が生じる病気です。その原因の多くは生活リズムの狂い、睡眠薬や鎮痛剤の不適切な服用であるといわれています。
過眠症の一種にナルコレプシーという病気があります。ナルコレプシーとは、1対1の商談中や大事な試験中など通常では考えられない場面でも眠ってしまうことがある病気です。
ナルコレプシーは、10代から20歳ごろの若年層に多く見られ、周囲からは病気とは思われず、本人に問題があると思われがちです。診断までに5~15年ほどかかるといわれています。

ナルコレプシーの原因は?

このナルコレプシーについてですが、大事なときでも眠ってしまうその原因は分かっていませんでした。1998年にテキサス大学の柳沢、桜井らの研究グループが「覚醒状態」に関わっている神経伝達物質のオレキシンを発見しました。その後、ナルコレプシーの患者はオレキシン産生ニューロンが機能していないことが明らかとなりました。この知見をもとにナルコレプシーの治療法の研究が進んでいます。

過眠症や不眠症の治療法は?

ところで皆さんは、過眠症と不眠症どちらで悩んでいる方が多いか考えたことはありますか? 答えは不眠症です。
不眠症の治療法は症状や状況に応じて様々ですが、まずは薬に頼らず生活習慣を見直すことにより睡眠障害を克服する「行動療法」があります。カフェインなどの睡眠を妨げる成分の摂取を避ける、昼寝をせず決まった時間に就寝する、などが挙げられます。他にも、運動を習慣づけることや、20分以上寝付けない場合は一度ベッドから出ることなども有効です。
行動療法のみでは克服が難しい場合は、必要に応じて薬を使用した治療を行います。現在、不眠症の治療に使われている主な薬の中に「オレキシン受容体拮抗薬」があります。この薬はこれまでの治療薬と異なり依存性がないとされているため、症状が改善したあとは服薬を終了することができます。もちろん、症状改善後も規則正しい生活習慣を心がけましょう。また、行動療法と薬物療法は症状の経過などを医師と相談しながら使い分けることが大切です。

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