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更新日: 2025.07.31

2028年に改正が予定される遺族厚生年金

ファイナンシャルプランナー(CFP®)/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/DC(確定拠出年金)プランナー/住宅ローンアドバイザー/証券外務員新井 智美さん

◆遺族厚生年金の見直しの背景

2025年6月に「国民年金法等の一部を改正する法律案」が成立し、遺族厚生年金の制度も見直されることになりました。

今回の改正で焦点となったのは、子どもがいない配偶者への対応です。現在の制度では、子どもがいない妻が夫と死別した場合、30歳未満の妻であれば、5年間の期限付きで年金が支給され、妻が30歳以上であれば無期限で支給されます。一方で、子どもがいない夫が妻と死別した場合は、夫が55歳以上でなければ支給対象とならず、支給開始も60歳からです。このような男女差による不平等感を解消するため、今回の改正に至りました。

◆改正後の内容と対象者

改正後は、60歳未満で配偶者と死別した子どもがいない妻・夫は、いずれも原則5年間の有期給付となります。60歳以上であれば給付期間は無期限です。また、有期給付には新たに加算(有期給付加算)が上乗せされるため、受け取れる年金額は、現在の約1.3 倍になります。

今回の改正の影響を受けるのは、子どもがいない60歳未満の妻または夫が受給者となるケースです。改正前から受給している方や、60歳以上の妻または夫、2028年に40歳以上になる妻は改正の影響をうけません。

ただし、この改正は男性に対しては2028年4月から実施されるものの、女性に対しては同年4月から段階的に実施されます。受給対象となった際には、年金事務所への申請を忘れないようにしましょう。


※ いずれも、子どものいない場合(※子どもとは、18歳になった年度末までまたは障害の状態にある場合は20歳未満の方をいいます)

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